日本書紀

「黄泉国(よもつくに)」の話を日本書紀で見る

黄泉国(よもつくに)とは黄泉の国(よみのくに)と同じ意味です。黄泉の国とは、よくわからない世界や死後の世界のことをいいますが、この黄泉国の話が日本書紀に登場しますので、今回はこのことについて紹介していきます。

以下は日本書紀の別伝による内容を参考にしています。

イザナミ神が神生みの最中に「迦具土(カグツチ」という名の火の神を生み出すのですが、このときイザナミは、カグツチに焼かれてしまい。この世を去ることになります。

■建御雷神(タケミカヅチノカミ)の祖先について

このことにイザナギ神は大変悲しみ、カグツチを斬りつけます。そして、そのとき剣の鍔(つば)からしたたり落ちた血潮が神となりました。その神様が甕速日神(ミカハヤヒノカミ)でした。次に熯速日神(ヒノハヤヒノカミ)が生まれました。

先に生まれたミカハヤヒノ神は武甕槌神(タケミカヅチノカミ)の祖先になります。※武甕槌神=建御雷神(または、ミカハヤヒ命、次にヒノハヤヒ命、次にタケミカヅチノ神と言う、との記載もあり)

この後、イザナギ神はイザナミ神の後を追って「黄泉国(よもつくに)」に行きました。

そこでイザナギ神はイザナミ神に出会うことができました。そのときイザナミ神はイザナギ神に「寝ているところを見ないで下さい」とお願いし、約束します。イザナギ神は一旦了承しますが、その後約束を破り、こっそりと寝所をのぞいてしまうのです。

すると、そこには身体中にウミが沸き、ウジがたかっているイザナミ神の姿があったのです。驚いたイザナギ神は黄泉国から逃げ出してしまいます。

島根県東出雲町揖屋にある黄泉比良坂の伝承地の地図(Google mapより)

 

■イザナギ神の禊から三貴神が生まれた

この世に戻ってきたイザナギ神は、黄泉国で穢れ(けがれ)を受けたとして、禊(みそぎを行います。禊を行った場所は、筑紫国の海に近い河口で、橘(たちばな)の檍原(あはぎはら)とされています。この禊のときに多くの神々が生まれました。

この一連の経緯の中で、右目を洗ったことで生まれたのが天照大神(アマテラスオオミカミ)、左目を洗ったことで生まれたのが月読尊(ツクヨミノミコト)、鼻を洗ったことで生まれたのが素戔嗚尊(スサノオノミコト)となっています。

こちらが、天照大神やスサノオノミコトの誕生の経緯となります。

誓約(うけい)の記事へ続く